とんち勝負(fù)
むかしむかし、きっちょむさんと言う、とてもゆかいな人がいました。
ある日の事、とんち名人として有名な彥一と言う子どもが、きっちょむさんにとんち勝負(fù)を挑んできたのです。
そこで村の和尚さんが立ち?xí)い摔胜?、山の一本道でとんち勝?fù)が始まったのです。
「おほん、それではこれより、とんち勝負(fù)を始めるとする」
「へい。それで、何をすればいいのですか?」
きっちょむさんの質(zhì)問に、和尚さんが答えました。
「うむ、わしが百を數(shù)える間に、なにか世の中になくてはならぬ物をこしらえて見ろ。それがこのとんち勝負(fù)の題材じゃ」
それを聞いて彥一は、真剣な顔で考えました。
(百を數(shù)える間に物を作るとは難しい。
しかも、世の中になくてはならぬ物とは。
だがそれは、きっちょむさんも同じ事。
きっちょむさんはなかなかのやり手と聞くが、必ず勝ってやる)
一方、きっちょむさんは、
(うわさ通り、まじめでかしこそうな子どもだ。だがそれだけでは、きっちょむには勝てないよ)
と、とぼけた様子です。
「では、はじめっ!」
和尚さんのかけ聲で、二人は山の中に入って行きました。
「一、二、三、???」
和尚さんの數(shù)える聲が、山に響きます。
「 ???九十八、九十九、百!」
和尚さんが百と數(shù)え終わると同時(shí)に、二人はそれぞれ何かを持って帰ってきました。
まずは彥一が、持ってきた物を得意そうに出しました。
「きっちょむさん、これはどうだ!」
それは、にわか作りにしてはよく出來た、一體のかかしでした。
それを見た和尚さんが、感心して言いました。
「うーむ、なるほど。
確かにこれは、世の中になくてはならぬ物だ。
しかもこれなら、簡単に作ることが出來る。
彥一よ、見事に題材通りの物を持ってきたな」
「えっへん」
和尚さんにほめられて、彥一はうれしそうです。
しかし、きっちょむさんは、きょとんとした顔で彥一に言いました。
「さすがにあなたは知恵者だ。だが、これ一體だけか?」
「當(dāng)たり前だ! 百を數(shù)えるこんなわずかな間に、そうたくさん作れるものか!」
「そうか、ではわしの勝ちだな」
きっちょむさんはそう言って、道ばたの草むらから刈り取ったしばを見せると、一本、二本と數(shù)え始めました。
「???十八、十九、二十。どうだい、おれは二十本も用意したぞ」
それを聞いて、彥一が変な顔をします。
「きっちょむさん。確かに、しばも世の中になくてはならぬ物で、數(shù)はそちらが上だが、でもそちらは、ただしばを刈っただけではないか?」
すると、きっちょむさんはにっこり笑って答えました。
「これは、とんち比べのとんち勝負(fù)だ。勝(刈)った方が勝ちに決まっているじゃないか」
「??????」
「??????」
それを聞いた彥一と和尚さんは、二の句が告げませんでした。
おしまい