臺(tái)版鈴芽之路,翻譯練習(xí)用

『九州全區(qū)受到高氣壓籠罩影響,今天應(yīng)該會(huì)是晴朗的好天氣!』
宮崎電視臺(tái)的氣象報(bào)導(dǎo)中,天氣姊姊拿著魔法少女的魔法棒般色彩繽紛的棒子,圈起九州愉快地播報(bào)。
「我要開動(dòng)了~」
我合掌之后,把一大坨奶油放到厚切土司上。
『九州全域は広く高気圧に覆われ、今日は爽さわやかな青空に恵まれるでしょう!』
テレビ宮崎のお天気お姉さんが、魔法少女のステッキみたいなカラフルな棒で九州をぐるりと囲みながら、にこやかに喋しやべっている。
「いただきまーす」
私は手を合わせてから、厚切りの食パンにどさっとバターを乗せる。
????
????我一邊在烤得脆脆的土司上涂奶油,一邊看著天氣姊姊。我滿喜歡她的。雪國居民般的白皙肌膚,令人猜想她或許來自北國?!高瞧潯!挂旅姘?,就發(fā)出誘人的聲音。真好吃。微焦的表皮內(nèi)側(cè)柔軟而微甜

,襯托出奶油的濃郁風(fēng)味。我們家的餐桌上用的食材總是稍微有些高級。今天最高氣溫是二十八度,熱度稍有緩和,應(yīng)該會(huì)是舒適的九月天。天氣姊姊的語調(diào)是完美無缺的標(biāo)準(zhǔn)口音。
「你今天別忘了帶便當(dāng)哪?!?/p>
????私、ちょっと好きだな、この人。バターをざりざりと伸ばしつつ、お天気お姉さんを眺める。雪國めいた肌の白さが、なんとなく北國の出身かなと思わせる。バリッ。パンをかじると、香ばしい音が立つ。美味おいしい。焦げ目の內(nèi)側(cè)はしっとりと甘みがあって、それをバターの濃厚さが引き立てていて。うちの食卓の材料は、いつもちょっとだけ高価なのだ。本日の最高気溫は二十八度、暑さはやや緩み、九月らしい過ごしやすい一日となりそうです。お天気お姉さんのイントネーションは完かん璧ぺきな標(biāo)準(zhǔn)語だ。
「あんた、今日はお弁當(dāng)忘れんでね」
????環(huán)阿姨從廚房里用有些責(zé)備意味(雖然或許只是我多心了)的宮崎腔(注1)這么說?!负美病刮业幕貞?yīng)中加入了不會(huì)太過深刻的反省。環(huán)阿姨每天早上會(huì)替我做便當(dāng),但我有時(shí)會(huì)忘了帶去學(xué)校。我不是故意的。雖然不是故意的,不過沒有帶便當(dāng)?shù)娜兆?,我?huì)稍微感到有些解脫?!刚媸悄媚銢]辦法哪?!弓h(huán)阿姨一邊裝便當(dāng)一邊噘起涂了紅色唇蜜的嘴唇。環(huán)阿姨的打扮照例完美無瑕,圍裙下擺露出修長的淺棕色西裝褲,蘑菇頭的短發(fā)光澤亮麗,一雙大眼睛周圍也上了眼妝。
「還有,鈴芽,我今晚會(huì)晚一點(diǎn)回來。晚餐可以自己隨便吃嗎?」
「什么?你要去約會(huì)嗎?」
我連忙吞下塞滿嘴巴的荷包蛋。
「沒問題沒問題,你盡管去吧!就算過了十二點(diǎn)也沒關(guān)系!偶爾也該去玩樂一下才行!」
「不是約會(huì),是加班!」環(huán)阿姨否定我的期待。
????臺(tái)所から、ちょっと責(zé)めるような口調(diào)で──私が勝手にそう感じるだけかもしれないけど──、環(huán)たまきさんの宮崎弁が言う。「はーい」と深刻すぎない反省を口調(diào)に混ぜて私は返す。環(huán)さんが毎朝作ってくれるお弁當(dāng)を、私は時(shí)々學(xué)校に持っていくのを忘れてしまうのだ。わざとじゃない。わざとじゃないけれど、お弁當(dāng)を持たない日はほんのすこしだけ解放感がある?!甘朔饯胜ぷ婴汀工?、環(huán)さんはお弁當(dāng)を詰めながら赤いグロスの唇を尖らせる。エプロンの下はすらりとしたベージュのパンツスーツで、マッシュショートの髪の艶つやも大きな瞳ひとみをぐるりと飾るメイクも、環(huán)さんには相変わらず隙がない。
「それから鈴芽、私、今夜ちょっと遅くなるわ。晩ごはん適當(dāng)に済ませてくれん?」
「えっ! 環(huán)さんデート!?」
ごくんっ、頰張った目玉焼きを私は慌てて飲み込む。
「いいよいいよー、ごゆっくり! なんなら十二時(shí)過ぎちゃっても大丈夫だから! たまには楽しんでおいでよ!」
「デートじゃなくて、殘業(yè)!」と、私の期待に蓋ふたをするように環(huán)さんは言う。
「我們要準(zhǔn)備漁業(yè)體驗(yàn)活動(dòng)。期限快要到了,所以有很多事情不處理不行。來,便當(dāng)給你。」
她遞給我L號(hào)尺寸的便當(dāng)盒。今天的便當(dāng)也很沉重。
天空就如天氣姊姊說的萬里無云,有幾只老鷹在高空得意地飛舞。我騎著腳踏車,順著沿海的斜坡往下騎。制服的裙子彷佛在深呼吸般,被風(fēng)吹得鼓起來。天空和大海都藍(lán)到令人難以置信,堤防的綠色則顯得非常鮮嫩,觸及海平線的云朵彷佛剛出生般雪白。我忽然想到,在這種地方穿著制服騎腳踏車上學(xué)的我,應(yīng)該很適合拍照上傳社群網(wǎng)站吧。我腦中浮現(xiàn)這樣的照片:背景是在朝陽下閃耀的古老港口城鎮(zhèn),前景斜坡上有個(gè)穿制服

的身影在騎腳踏車;被海風(fēng)吹拂的馬尾綁在偏高的位置,粉紅色腳踏車搭配以藍(lán)色為背景的少女纖瘦(應(yīng)該吧)剪影──真是太完美了,一定會(huì)得到很多贊吧……「喀!」此時(shí)我心中某個(gè)角落忽然變得僵硬。有一部分的內(nèi)心冷冷地對自己說:哼~看著大海竟然能產(chǎn)生這種念頭,你還滿天真的嘛。
我輕聲嘆了一口氣,把視線從感覺突然失去色彩的蔚藍(lán)海面移開,望向前方。
「咦!」
前面有個(gè)人正在走上斜坡。在郊外的這一帶很少看到行人,因此我感到有些驚訝。大人百分之百都是開車,小孩子由大人開車接送,我們這些國高中生則是騎腳踏車或輕型機(jī)車。
「漁業(yè)體験の準(zhǔn)備。そろそろ迫っちょるかい、いろいろ処理せんといかんとよ。はい、お弁當(dāng)」
?。胎单ぅ氦违楗螗隶堀氓工颉⑺饯鲜侄嗓丹欷?。それは今日もずっしりと重い。
空はお姉さんの宣言通りの快晴で、何羽かのトンビがずっと高い場所を得意げに舞っている。私は海沿いの坂道を自転車で下っている。制服のスカートが、深呼吸をしているみたいにばたばたと膨らむ??栅夂¥鈬uみたいに青く、土手の緑はどこまでも瑞みず々みずしく、水平線をなぞる雲(yún)は生まれたてのように白い。こんな場所を自転車で通學(xué)する制服姿の私は、けっこうSNS映えするんじゃないかなとふと思う。朝日に輝く古い港町を背景に、手前の坂道にはペダルを漕こぐ制服姿。そんな寫真を思い浮かべる。潮風(fēng)になびく高めのポニーテイルと、ピンク色の自転車と、青を背景にした少女の華きや奢しやな(たぶん)シルエット。まいったなこりゃ、だいぶいいね! がついちゃうな?!长沥?、と、心の端っこがふいに硬くなる。ふーん。と、私の中の一部が呆あきれる。海を見ながらそんな気分なんて、ずいぶんお?dú)輼Sだね、君。
私は小さく息を吐く。ふいに色いろ褪あせてしまったように見える海の青から、目をはがして前を見る。と、
「!」
誰かが、歩いて坂を登ってくる。町外れのこのあたりを歩いている人なんて極めて珍しいから、私はちょっと驚く。大人たちは百パーセント車移動(dòng)だし、子供たちは大人の車に乗せてもらうし、私たち中高生は自転車か原付バイクだし。
──應(yīng)該是個(gè)男人吧。他長得很高,長發(fā)和白色長襯衫隨風(fēng)搖曳。我輕輕握住手剎車,稍微減慢腳踏車的速度。那名陌生青年逐漸接近──會(huì)不會(huì)是旅客?他背著像是登山用的背包,穿著曬到發(fā)白的牛仔褲,跨著大步前進(jìn)。微卷的長發(fā)遮住眺望大海的側(cè)臉。我稍微加強(qiáng)握住手剎車的力道。這時(shí)海風(fēng)突然變得強(qiáng)勁,青年的頭發(fā)被風(fēng)吹起來,露出眼睛的部位。我屏住氣息。
「好漂亮?!?/p>
我不禁脫口而出。這名青年的肌膚彷佛與夏季絕緣般白皙,臉部輪廓銳利而優(yōu)雅,長睫毛在瘦削的臉頰上投射柔和的陰影。左眼下方有一顆小小的痣,位置完美無缺,彷佛命中注定應(yīng)該在這里。像這樣的細(xì)節(jié)不知為何以近在咫尺般的解析度映入我的眼里。距離不斷縮短。我低下頭。腳踏車的車輪聲音和青年的腳步聲重疊在一起。我的心跳加快。我們在五十公分的距離擦肩而過。我以前、我們以前──我的內(nèi)心在說話。所有的聲音都變得緩慢。我們以前是不是曾經(jīng)在哪里──
「請問一下。」
聲音柔和而低沉。我停下腳踏車

回頭。在這一秒之間,風(fēng)景顯得格外耀眼。青年站在我眼前,直視我的眼睛。
「這附近有沒有廢墟?」
「ㄈㄟˋ ㄒㄩ?」
????──男の人だ、たぶん。すらりと背が高く、長い髪と白いロングシャツが風(fēng)になびいている。私はかすかにブレーキを握り、自転車のスピードをすこし緩める。しだいに近づいてくる。見知らぬ青年──旅行者かな。山登りみたいなリュックを背負(fù)っている。日焼けしたジーンズに、大きな歩幅。すこしウェーブした長い髪が、海を眺める橫顔を隠している。私はまたすこしだけ、ブレーキを握る手に力を込める。すると、ふいに海風(fēng)が強(qiáng)くなる。青年の髪が風(fēng)に躍り、その目元に光が當(dāng)たる。私は息を吞のむ。
「きれい……」
口が勝手に呟いていた。青年の肌は夏から切り離されたように白く、顔の輪郭は鋭くて優(yōu)雅。長い睫まつ毛げが、すっと切り立った頰に柔らかな影を落としている。左目の下には、ここにあるべきなんだという完璧さで小さなほくろがある。そういうディテイルが、どうしてか間近で見ているような解像度で私の目に飛び込んでくる。距離が縮まっていく。私はうつむく。私の自転車の車輪の音と、青年の足音が混じり合う。鼓動(dòng)が高まっていく。五十センチの距離で、私たちはすれ違う。私は、私たちは──心が言う。ぜんぶの音がゆっくりになっていく。私たちは、以前、どこかで──。
「ねえ、君」
柔らかくて低い聲。私は立ち止まり、振り返る。その間の一秒の風(fēng)景が、やけに眩まぶしい。目の前に、青年が立っている。まっすぐに私の目を見ている。
「このあたりに、廃はい墟きよはない?」
「はいきょ?」
予想外の問いに、漢字が追いつかない。ハイキョ?
「扉を探してるんだ」
とびら? 廃墟にある扉ってこと? 自信のない聲が出る。
意想不到的問題讓我一時(shí)想不起漢字。ㄈㄟˋ ㄒㄩ?
「我在找門?!?/p>
門?是指廢墟里的門嗎?我用不太有自信的聲音說:
「……如果是指沒人住的聚落,應(yīng)該在那邊的山里……」
青年露出笑容。他的笑容很美。該怎么形容呢?就好像把周圍的空氣都染成溫柔的氣氛。
「謝謝你?!?/p>
青年說完轉(zhuǎn)身背對我,朝著我指的那座山快步走過去。他的態(tài)度很果斷,完全沒有回頭。
「……啊?」
我不禁發(fā)出愚蠢的聲音。高空傳來老鷹尖銳的鳴叫聲。呃……這樣會(huì)不會(huì)太干脆了一點(diǎn)?
* *?。?/p>
警鈴在我頭上「鏗鏗鏗」地響。我在等平交道時(shí)心跳仍舊有點(diǎn)快。那個(gè)人究竟是何方神圣?我望著輪流亮起又熄滅的紅燈心想,實(shí)際見到藝人或模特兒之類的,大概就像那樣吧──美到有些非日常的感覺,在目擊之后也會(huì)持續(xù)興奮好一陣子……不對,大概完全不一樣。如果要比喻的話,那個(gè)人就好像──
路燈照亮的雪景。只有頂端沐浴在朝陽中的山峰。在伸手構(gòu)不到的高處被風(fēng)吹散的白云。與其說是帥哥,他更像那些風(fēng)景般美麗。而且我覺得,很久以前好像看過那樣的風(fēng)景。對了,就像我夢境中的草原那種奇妙的懷念感覺──
「鈴芽!」
????「……人の住まなくなった集落だったら、あっちの山にありますけどぉ……」
青年はにっこりと微笑む。なんて言うか、周囲の空気ごと優(yōu)しく染めるような、とても綺き麗れいな微笑。
「ありがとう」
青年はくるりと背を向けて、私が指差した山に向かってすたすたと歩いて行く。さっぱりと、すこしも振り返ることなく。
「……は?」
間の抜けた聲が、思わず口から出てしまう。ぴーひょろろーと、トンビが高く鳴いている。え、だって、なんかあっけなくない?
?。。。?/p>
頭のすぐ上で、カンカンカンと警報(bào)が鳴っている。踏切を待っている私の鼓動(dòng)は、まだすこしだけ速い。あの人、なんだったんだろう──交互に點(diǎn)滅する赤を眺めながら、私は考えている。蕓能人とかモデルとかって、実際に會(huì)うとあんな感じなんだろうか。ちょっと非日常的に美しくて、目撃後もしばらく興奮が殘るような?!い洹⑦`う。たぶんぜんぜん違う。あの人は、たとえば──。
街燈に照らされた雪景色とか。てっぺんだけ朝日を浴びている山頂とか。手の屆かない高さで風(fēng)にほどかれていく、まっ白な雲(yún)とか。イケメンっていうよりは、そういう景色みたいに綺麗な人だった。そして私は、その景色をずっと昔に見たことがあるような気がするのだ。そうだ、夢で行く草原の、あの奇妙な懐かしさのような──。
「すーずめ!」
とん、と後ろから肩を叩たたかれた。
有人從背后拍我的肩膀。
「早安!」

「啊,小絢,早安?!?/p>
黑色短發(fā)的小絢氣喘吁吁地來到我旁邊,似乎是跑來的。兩節(jié)車廂編制的短列車經(jīng)過我們面前,刮起一陣風(fēng),搖晃柵欄和裙子。這時(shí)我才注意到,周圍有許多上學(xué)途中的學(xué)生在聊天。大家愉快地聊著「有沒有看昨天的直播?」或是「我今天睡眠不足,好慘」之類的。
「咦?鈴芽,你的臉是不是紅紅的?」
「什么?真的?紅紅的?」
我不禁把雙手貼在臉頰上。臉頰是熱的。
「真的好紅。怎么了?」
懷疑的一雙眼隔著眼鏡盯著我的臉。我正猶豫著該怎么回答,警鈴就好像宣告結(jié)束般唐突地停下來,柵欄也緩緩升起。停在平交道前的大家都同時(shí)往前走。
「怎么了?」
小絢回頭看獨(dú)自站在原地的我,這回用有些擔(dān)心的口吻問。我心中想著那個(gè)像風(fēng)景的人,還有那股既視感──我抬起腳踏車的前輪。
「抱歉,我想到有東西忘了帶!」
我變換方向,跨上腳踏車,朝著回去的方向踩下踏板。「什么?等等,鈴芽,你會(huì)遲到喔!」背后的聲音越來越遠(yuǎn)。朝陽的壓力使我汗流浹背,不過我仍以立姿騎腳踏車往山的方向前進(jìn)。路上經(jīng)過的小卡車司機(jī)狐疑地盯著身穿制服、卻朝著和高中反方向急馳的我。我離開縣道的柏油路,進(jìn)入以老舊水泥固定的山路。海浪的聲音突然被蟬聲取代。我把腳踏車停在雜草中,跨過「禁止進(jìn)入」的路障,快步爬上幾乎像野獸路徑的幽暗窄路。
「おはよ!」
「あ、絢あや。おはよう」
走ってきたのか、ボブの黒髪と息を弾ませた絢が隣に立つ。二両編成の短い列車が目の前を通過し、遮斷機(jī)のバーとスカートを風(fēng)で揺らす。他にも登校中の生徒たちの雑談が周囲に満ちていることに、今さらに気づく。昨日の配信観たー? とか、寢不足でやべっちゃわとか、皆楽しげに話している。
「あれ? 鈴芽あんた、なんかちょっと顔赤くね?」
「えっ、うそ! 赤い!?」
思わず両手で自分の頰を挾む。え、熱い。
「赤あけーね。どんげしたん?」
眼鏡ごしの不審そうな瞳ひとみが、私の顔を覗のぞき込む。どう答えようかと迷っていると、時(shí)間切れみたいに唐突に警報(bào)が止まり、遮斷機(jī)のバーが上がっていく。踏切に溜たまっていた皆が、一斉に歩き出す。
「……どんげしたと?」
ひとり立ち止まったままの私を振り返り、今度はちょっと心配そうに絢が言う。──景色みたいな人。あのデジャヴ。私は自転車の前輪を持ち上げる。
「ごめん、忘れ物思い出した!」
方向転換して自転車にまたがり、來た方向に漕ぎ出す。え、ちょっとちょっと鈴芽、遅刻するが! 背中の聲が遠(yuǎn)ざかっていく。朝日の圧力で背中を汗ばませながら、私は立ち漕ぎで山に向かう。すれ違う軽トラのおじさんに、高校とは反対方向に急ぐ制服姿をじろじろと凝視される。私は県道のアスファルトを逸それ、古いコンクリートで固められた山道に入る。とたんに、海の音が蟬の聲に塗り替わる。自転車を雑草の中で停め、「立ち入り禁止」のバリケードをまたぐ。ほとんど獣道のような薄暗い細(xì)道を、私は早足で登っていく。
……あれ、一限目の授業(yè)にはもう間に合わないじゃん。山を登り切り、眼下に古い溫泉郷が見えたところで、私は息を吐きながらようやくそう思った。
????……咦,第一節(jié)課已經(jīng)來不及了──我爬上山頂,來到可以俯瞰下方溫泉鄉(xiāng)的地方,氣喘吁吁時(shí)才總算想到這一點(diǎn)。
空氣中隱約彌漫著硫磺的氣味。

????從昭和末期到平成初期,這一帶據(jù)說是大型度假設(shè)施。在景氣好、人又多、跟現(xiàn)在完全不同的那個(gè)時(shí)代,有來自日本各地的家庭、情侶或朋友等,特地到這種深山來泡溫泉、打保齡球、喂馬吃紅蘿卜、或是玩「太空侵略者」游戲(雖然我不知道那是什么)。我感到有些不可思議。不過在雜草埋沒的聚落,仍零星殘留著可以想見當(dāng)年熱鬧景象的痕跡:生銹的自動(dòng)販賣機(jī)、破掉的紅燈籠、曬到變色的溫泉水管、遍布藤蔓的招牌、堆積如山的空罐、外觀異常新的一斗罐(注2)、彷佛某種植物般在空中糾纏成漩渦狀的大量電線──不用說我住的聚落,就連高中所在的市中心,東西都沒有這座廢墟這么多。
「呃,抱歉,有人在嗎?」
即使東西很多,卻看不到人影。溫泉后來枯竭了,錢與人潮也隨之枯竭。夏日陽光雖然把廢墟照射得像游樂設(shè)施般活潑亮麗,不過還是難免有些恐怖。我走在因?yàn)殚L出雜草而裂開的石板地面,以超出必要的聲量喊:
????うっすらと、硫黃いおうの匂いが漂っている。昭和の終わりから平成の初めにかけて、このあたりは大きなリゾート施設(shè)だったそうだ。今からじゃ想像もつかないくらい景気も良くて人も多かった時(shí)代に、日本中から家族や戀人や友達(dá)グループなんかがこんな山奧までやってきて、溫泉に入ったりボウリングをしたり馬に人にん參じんをあげたりインベーダーゲームに興じたり(知らないけど)していたのだ。ちょっと信じられない。それでも草に埋もれた集落のあちこちに、その賑にぎやかさの余韻は殘っている。錆さびた自販機(jī)や破れた赤あか提ちよう燈ちん、日ひ灼やけした溫泉パイプや蔦つたの絡(luò)まった看板、山積みになった空き缶や妙に真新しい一斗缶、そういう種類の植物のように頭上で渦を巻いているおびただしい電線。私の住んでいる集落はおろか、高校のある町の中心部と比べても、ここの廃墟の方がずっと物に溢あふれている。
「あのー、すみませんー!」
それなのに、人の姿だけがない。いつしかお湯が涸かれ、お金が涸れ、人が涸れてしまったのだ。夏の陽射しが廃墟をアトラクション的にポップに照らしてくれてはいるけれど、さすがにちょっと不気味だ。私は草でひび割れた石畳を歩きながら、必要以上に大聲をあげる。
「那位帥哥~你在這里嗎?」
沒辦法,除此之外我不知道該怎么稱呼他。我渡過小小的石橋,前往廢棄飯店。聽說這里過去原本是這座度假村的中心設(shè)施。飯店是一座圓形水泥建筑,比起周圍的破屋大許多,因此格外醒目。
「打擾了……」
我踏入寬敞的飯店大廳。散落著瓦礫的地板上擺了好幾張沙發(fā),窗邊垂掛著破碎的巨大窗簾。
「你好~有人在嗎?」
我環(huán)顧四周,走在昏暗的走廊上。天氣明明很熱,可是我從剛剛就感到背上寒毛直豎。也許我太小看廢墟了。我用更大的聲音喊:
「那個(gè)~我覺得~我好像在哪里看過你!」
說出來我才想到,好像怪怪的。這簡直就像是搭訕時(shí)的經(jīng)典臺(tái)詞。
……回去吧。我突然覺得很蠢。此刻我才感到不好意思。就算見到那
個(gè)青年,我打算做什么?假設(shè)處在相反的立場,我只是問個(gè)路,對方就一直跟蹤我,那未免有點(diǎn)……不,是非??植?。說真的,我也開始覺得這個(gè)地方真的很恐怖了。
「我要回去了!」
我刻意開朗地大聲說完,轉(zhuǎn)身要走。這時(shí)我從眼角瞥見某樣?xùn)|西,因而停下腳步。
「……門?」
我從走廊到外面,就看到飯店的中庭。在天花板已經(jīng)完全崩落、
「いますかー、イケメンの人ぉーっ!」
だって、他に呼びようがない。私は小さな石橋を渡り、かつてこのリゾートの中心施設(shè)だったらしい廃ホテルへと向かう。円形のコンクリート建築で、周囲の廃屋に比べてひときわ大きく目立っている。
「おじゃましまーす……」
広々としたホテルのロビーに、私は足を踏み入れる。瓦が礫れきが散亂した床には幾つものソファーが並び、窓にはちぎれた巨大なカーテンがずらりと垂れ下がっている。
「こんにちはー! ねえ、いますかーっ?」
あたりを見回しながら、薄暗い廊下を歩く。暑い日のはずなのに、実はさっきから背中にぞくぞくと悪寒がある。廃墟なめてたかも。私はなおさらに大聲を張り上げる。
「あの、わたしーっ! あなたとーっ、どこかで會(huì)ったことがあるような気がーっ!」
口に出してみて、なんだかな、とふと思った。だって、これじゃナンパの常じよう套とう句くだ。
……帰ろっかな。なんだか急にばからしくなる。今さらに恥ずかしくなる。あの青年に會(huì)えたとして、私はどうするつもりだったのだろう。もし逆の立場だったら、もし道を?qū)い亭郡坤堡蜗嗍证嗓长蓼扦馑饯污Eを追いかけてきたとしたら、それはちょっと、だいぶ怖い。ていうかこの場所がそろそろ本気で怖い。
「かーえろ!」
ことさらに明るく大きな聲で、私はくるりと方向転換する。──と、目の端にちらりと映ったものが、私の足を止めた。
「……扉?」
廊下から出ると、そこはホテルの中庭だった。すっかり天井の落ちた
????只剩下鋼筋的圓頂下方,有一塊幾乎可以進(jìn)行一百公尺賽跑的廣闊圓形空間,地面上積了很淺的透明水洼。在水洼的中央,矗立著一扇白色的門。在散落的磚塊及遮陽傘殘骸之間,只有這扇門彷佛得到某人的特別許可,或是被禁止崩塌一般,孤獨(dú)而醒目地矗立在那里。
「對了,那個(gè)人有提到門……」
我像是在找借口般說出口,然后走向那扇門。當(dāng)我要走下通往中庭的矮石梯時(shí),停下了腳步。不知是雨水或是從某處仍舊有水流入,鋪磁磚的地板上積的水有十五公分左右深。弄濕皮鞋沒關(guān)系嗎──我腦中剛浮現(xiàn)這個(gè)問題,下一個(gè)瞬間已經(jīng)走在水中了。水進(jìn)入鞋子里的觸感讓我頓時(shí)感到懷念,水溫出乎意料地冰冷也讓我感到驚訝,不過當(dāng)我繼續(xù)走向前方,就把這一切都拋到腦后。
不知為何,我的視線無法移開矗立在眼前的那扇白色的門。那是扇很舊的木門,上面攀附著藤蔓,處處有油漆剝落,露出棕色的木紋。我發(fā)覺到這扇門微微打開著,約一公分的這道縫隙異常黑暗。為什么?天氣這么晴朗,為什么這道縫隙這么暗?我感到相當(dāng)在意,無法視而不見。細(xì)微的風(fēng)聲吹入我的耳廓。我把手伸向黃銅色的圓形門把,用指尖輕輕觸摸。雖然只是輕輕碰到,門卻發(fā)出「唧」的聲音打開了。
「唔……」

我發(fā)出不成聲的驚嘆。
門內(nèi)是夜晚。
????すかすかの鉄骨ドームの下に、百メートル走が出來そうなくらいの広さの円形の空間があり、地面には透明な水が薄く溜たまっている。その水溜まりの中央に、白いドアがぽつんと立っていた。他にもレンガとかパラソルの殘ざん骸がいとかが散らばっている中で、そのドアだけは誰かから特別に許されたみたいに、あるいは崩れることを禁止されてしまったかのように、孤獨(dú)にくっきりと立っていた。
「あの人、扉って言ってたよね……」
なんだか言い訳のように私は口に出し、ドアに向かう。中庭へと降りる低い石段の途中で、足が止まる。雨水なのか、それともどこかからまだ水が來ているのか、タイル敷きの床に溜まった水には十五センチほどの深さがある。ローファーを濡ぬらしていいのかな──と思った次の瞬間には、私は水の中を歩いていた。靴に水が入る感觸にふいに懐かしみを感じ、予想していなかった水の冷たさに驚き、でも歩きながらすぐに、私はそういう全部を忘れた。
目が、なぜか離せない。すぐ目の前に、白い扉が立っている。古い木のドアだ。蔦が絡(luò)まり、所々ペンキがはげて茶色い木目が露出している。そのドアがほんのすこしだけ開いていることに、私は気づく。一センチほどのその隙間が、奇妙に暗い。どうして。こんなに青空なのに、どうして隙間がこんなに暗いのだろう。私は気になって仕方がない。耳のひだに、風(fēng)の音がかすかに吹き込んでくる。真しん鍮ちゆう色の丸いドアノブに、私は手を伸ばす。指先でそっと觸れる。そっと觸れただけなのに、きい、と音を立て、ドアが開く。
「──っ!」
聲にならない息が漏れた。
ドアの中には、夜があった。
????滿天的星星以令人難以置信的亮度閃閃發(fā)光,地面是一望無際的草原,風(fēng)在草原上呼嘯。懷疑自己腦筋變得不正常的恐懼、懷疑自己在做夢的混亂、以及「你早就知道了吧」的念頭,像濁流般形成漩渦。我從水中抬起左腳,想要踏到草原上。皮鞋鞋底踩在草上的觸感浮現(xiàn)在我腦中──然而鞋子卻「啪」一聲再度踩入水里。
「咦?」
這里是白天的中庭,不是星空下的草原。
「什么?」
我連忙環(huán)顧四周。這里依舊是飯店的廢墟。我回頭看門。門內(nèi)呈現(xiàn)著夜晚的空間,宛若只有那里從夏季被切開一般。
「為什么……」
我想要思考,但身體卻開始奔跑。門越來越近,星空越來越近。我穿過門──但仍舊置身于廢墟。我連忙回頭,再次沖進(jìn)門內(nèi)的星空底下──然而這里還是廢墟。我無法進(jìn)入草原。我不被允許進(jìn)入。我往后退,鞋子踢到堅(jiān)硬的東西,發(fā)出類似敲鐘的「鏗~」的聲音。我驚訝地低頭看下方。那是……地藏菩薩?小小的石像從水面探出頭。這尊石像長了一對像稻荷神社狐貍雕像的大耳朵,倒三角形的臉上刻了瞇成一條線的眼睛。
満天の星が、噓みたいな眩まぶしさでぎらぎらと光っている。地表にはさんざめく草原が、どこまでも続いている。頭がおかしくなっちゃったのかもという恐怖と、夢を見ているのかという混亂と、知っていたはずだよねという合が點(diǎn)てんが、濁流みたいに渦を巻く。私は左足を水から持ち上げて、草原に一歩踏み込もうとする。ローファーの底が草を踏む、その感觸が頭に浮かぶ──と、ぱしゃん、靴はまた水を踏んだ。
「えっ!?」
そこは真晝の中庭だ。星空の草原じゃない。
「ええっ!?」
慌てて周囲を見渡す。変わらぬホテルの廃はい墟きよだ。ドアを振り返る。ドアの中には、そこだけ夏から切り離されてしまったかのように、ぽっかりと夜がある。
「なんで……」
考えようとしたのに、體が駆け出していた。ドアが迫る。星空が迫る。ドアをくぐる──と、そこは廃墟である?;扭皮普瘠攴丹搿%丧ⅳ沃肖涡强栅?、もう一度駆け込む。それでもやっぱり、そこは廃墟。草原には入れない。入れてもらえない。後ずさる。と、靴が硬い何かにあたり、コオォォォン……と澄んだ鐘のような音が響いた。驚いて足元を見る。……お地蔵さま? 小さな石像が、水面から頭を出している。稲荷いなり像みたいに大きな耳のついた逆三角形の顔に、糸狀に細(xì)めた目が彫られている。私はじっと見つめる。そうせずにはいられない。まるで話しかけられているように、ざわざわとした風(fēng)の音が耳で巻いている。両手を石像に觸れる。そのまま持ち上げると、引き抜くような感觸があり、ボコ、と水中に大きな泡が昇った。
????我注視著這座雕像。我無法不注視它。在我耳邊騷動(dòng)的風(fēng)聲,就好像在對我說話一般。我的雙手接觸石像。我把石像拿起來,感覺到它好像被連根拔起,水中「咕嚕」地冒出很大的泡泡。我低頭檢視拿在手中的石像,發(fā)現(xiàn)它的底部像短拐杖般尖尖的。難道這座石像原本插在地上?
「好冰……」
它的表面結(jié)了冰,薄薄的冰膜彷佛被我的體溫驅(qū)逐般不斷融化,形成水滴往下滴落。為什么在夏天的廢墟里面會(huì)結(jié)冰?我回頭看門。門內(nèi)確實(shí)存在著星空底下的草原。至少在我眼

中是確實(shí)存在的。
噗通!
我突然感受到石像的溫度,低頭一看,發(fā)現(xiàn)自己的雙手抓著全身長了毛的柔軟生物。
「哇??!」
雞皮疙瘩從雙手?jǐn)U散到全身。我立刻把「那東西」丟出去,在稍遠(yuǎn)的地方濺起水柱。接著那東西濺起激烈的水花,在水中快速奔跑,以小型四足動(dòng)物般的動(dòng)作跑向中庭邊緣。
「什么~」
那、那原本是石像吧?
「哇啊啊啊……好可怕!」
我不禁卯足全力奔跑。這不是真的吧這是在做夢吧還是說這種事其實(shí)很常發(fā)生呢大家一定都有經(jīng)歷過只是沒說出來吧嗯沒錯(cuò)一定是這樣沒錯(cuò)!我必須盡快到教室里,跟大家分享這個(gè)故事然后哈哈大笑才行。我懷著這樣的念頭,沿著來時(shí)的路不停奔跑。
只有我們看得到的東西
????両
手に持った石像を見下ろす。短い杖つえのような形に底が尖とがっている。地面に刺さっていたってこと?
「冷たい……」
凍っているのだ。薄い氷の膜が私の體溫に追い立てられるように溶けていき、雫しずくとなってぽたぽたと落ちる。なぜ。どうして夏の廃墟に、氷があるのか。私は扉を振り返る。ドアの中には確かに、星空の草原がある。確かにあるように、私の目には見える。
ドクン!
突然、石像に體溫を感じた。見ると、両手は毛に覆われた柔らかな生き物を摑つかんでいる。
「きゃあっ!」
両手から全身に鳥肌が走り、私はとっさにそれを放り投げた。ぼちゃん! と離れた場所に水柱が上がる。と、それはバシャバシャバシャ! と激しく飛沫しぶきを上げて、水中を素早く走り出した。小さな四つ足動(dòng)物のような挙動(dòng)で、中庭の端の方に去って行く。
「えええええ!?」
え、だってだって、石像だったよあれ!
「うわあああ……怖っ!」
私は堪たまらずに、全力で駆け出した。噓だよね夢だよねそれともこういうことってわりと頻繁に起きてるのかな皆実は體験していて言わないだけなのかなうんきっとそうだよねそうに違いない! 一秒でも早く教室に行き、この出來事を友達(dá)と笑い飛ばさなければ。それだけを考えながら、私は來た道をひた走った。
私たちにしか見えないもの
????午休時(shí)間的鐘聲響起。「喂,巖戶,你現(xiàn)在才來呀?」「咦?鈴芽,你的臉色好差,怎么了?」有幾個(gè)人問我,但我只是回以含糊的笑容,走入自己的教室。
「……你總算來了?!?/p>
小絢坐在窗邊的位子,一邊吃便當(dāng)一邊以驚嘆的表情說。
「鈴芽,你這是董事長的上班時(shí)間吧?」
一旁的麻美笑了笑,把煎蛋放入嘴里。
「呃……對呀?!?/p>
我擠出笑臉,面對兩人坐下。中午的喧囂聲、窗外黑尾鷗的叫聲,此時(shí)才總算傳入我的耳中。我半自動(dòng)地從背包拿出便當(dāng)盒,打開盒蓋。
「哇,阿姨便當(dāng)出現(xiàn)了!」
兩人興致盎然地喊。飯團(tuán)用海苔、櫻花魚松粉做成卡通造型的麻雀臉

孔,雞蛋絲做成爆炸頭,豌豆是鼻子,香腸是粉紅的臉頰。煎蛋、小香腸和炸蝦也都有小小的眼睛和嘴巴?!附裉斓谋惝?dāng)也好有愛?。 埂赴⒁套鲞@個(gè)便當(dāng)要花多久的時(shí)間?」我姑且發(fā)出「嘿嘿」的笑聲,抬起頭看兩人。我笑得不是很自然。
「那個(gè)……你們知道上之浦那邊有座廢墟吧?就是以前的溫泉街?!?/p>
我試著問兩人。
「有嗎?小絢,你知道嗎?」
????晝休みに入ったことを告げるチャイムが、きんこんかんと鳴っている。おう巖いわ戸と、今來たと? あれ鈴芽、なんや顔色悪いっちゃない? 何人かの言葉に曖あい昧まいな笑みを返しながら、私は自分の教室に入る。
「……やっと來た」
窓際の席でお弁當(dāng)をつつきながら呆あきれ顔の絢が言い、
「重役出勤やねえ、鈴芽ぇ」
その隣で、半笑いのマミが卵焼きを口に入れる。
「あー……まあ、うん」
私は笑顔を作りながら、二人と向かい合わせに腰を下ろす。お晝時(shí)のざわめきと窓からのウミネコの鳴き聲が、思い出したように耳に屆き始める。私はなかば自動(dòng)的にリュックからお弁當(dāng)箱を取り出し、蓋ふたを開ける。
「きゃー、出たわー、おばさん弁當(dāng)!」
二人が面白そうに聲を上げる。おにぎりが、海の苔りや桜でんぶで飾られて雀のキャラ顔になっている。錦きん糸し卵たまごがアフロヘアになっている。グリーンピースが鼻になっている。ソーセージがピンクの頰となっている。卵焼きにもウィンナーにも海え老びフライにも、にっこり笑う目と口がある。今日も愛が深ふけえねえ。これ作るのにおばさんどんだけ時(shí)間かかっちょっと? えへへ、と私はとりあえず笑い聲を返してから、顔を上げて二人を見る。あまり上手うまく笑えない。
「あのさあ……上かみ之の浦うらの方に廃墟あるでしょ? 古い溫泉街」
と、私は二人に訊きいてみる。
「え、そうなん? 絢、知っちょる?」
「嗯,好像有。聽說是泡沫時(shí)代的度假設(shè)施,在那邊的山里?!?/p>
我們一起抬頭看小絢指的方向。被曬得褪色的窗簾隨風(fēng)搖曳,在那外面,可以看到午后安詳?shù)母劭诔擎?zhèn)。岬角包圍著小小的海灣,上面是低矮的山。那里就是我先前所在的地方。
「那里怎么了?」
「那里有門……」我剛說出口就發(fā)現(xiàn),原本那么想要說出來跟大家一起笑的心情已經(jīng)完全萎縮。那不是夢,但也不是能夠和朋友分享的經(jīng)驗(yàn)。那是更私人的──
「還是算了?!?/p>
「什么嘛!把話說完!」
兩人異口同聲地說。因?yàn)槁犉饋砗芎眯?,我自然而然笑出來。在此同時(shí),我忽然發(fā)現(xiàn),在兩人的臉后方,那座山冒著細(xì)細(xì)的煙。
「那里是不是失火了?」
「什么?哪里?」
「你們看,就在那座山那里?!?/p>
「哪里呀?」
「看!那里在冒煙!」
「什么?到底在哪里?」
「……咦?」
我指著遠(yuǎn)方的指尖失去力量。
「你有看到嗎?」「沒看到。是不是哪里在燒田?」我看著兩人皺起眉頭交談,然后又再度望向山的方向。紅黑色的煙從山腰裊裊上升。那道
煙以藍(lán)天為背景,看起來明明這么清楚。
「哇!」
裙子口袋里的手機(jī)突然發(fā)出聲音。同樣的聲音在周圍同時(shí)響起。以大音量反覆、感覺很嚇人的不和諧音,是地震警報(bào)的通知音效。教室內(nèi)掀起輕微的尖叫聲。
「地震!」「真的嗎?有在搖嗎?」未完待續(xù)。。。
「ああ、あるみたいやね、バブルの頃のリゾート施設(shè)。あっちの山ん中」
絢の指差す先を、私たちは揃って見上げる。風(fēng)に揺れる日ひ灼やけしたカーテンの向こうには、晝下がりの穏やかな港町。小さな灣を囲む岬があり、その上に低い山がある。さっきまで私がいた場所だ。
「それがどうかしたと?」
「ドアが……」と口にした瞬間、あれほど笑い飛ばしたいと願(yuàn)っていた感情がすっかりしぼんでいることに私は気づく。あれは夢じゃない。でも、友達(dá)とシェアできるようなこともでもない。あれはもっと個(gè)人的な──。
「やっぱいいや」
「なによ! 最後まで言いないよ!」
二人の聲がぴったりと揃う。それが可笑おかしくて、ようやく自然に笑みが出た。同時(shí)に、あれ、と私は気づく。二人の顔の向こう、あの山から、細(xì)い煙が立っている。
「ねえ、あそこ、火事かな?」
「え、どこ?」
「ほら、あの山のとこ」
「え、どこお?」
「ほら! 煙が上がってる!」
「ええ、だからどこねぇ?」
「……え?」
伸ばした指先から、力が抜ける。「あんた分かる?」「分からん。どっかで野焼きしとるとか?」眉まゆ根ねを寄せて言い合う二人を見て、それからもう一度山を見る。赤黒くゆらめく煙が、山の中腹から昇っている。青空を背にこんなにもくっきりと、その煙は見えている。
「わっ!」
突然、スカートのポケットの中でスマホが音を立てた。同じ音が周囲からも一斉に湧き立つ。大音量で繰り返される恐ろしげな不協(xié)和音、地震警報(bào)のブザー音だ。教室中に小さな悲鳴が上がる。
「え、地震やって!」「ええっ、まじ、揺れとる!?」